多嚢胞性卵巣症候群の疑いがわかる⁈|卵巣の年齢もわかるAMH検査について

多嚢胞性卵巣症候群の疑いがわかる⁈|卵巣の年齢もわかるAMH検査について

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、卵胞が卵巣の中にたくさんできてしまい、排卵が起こりにくくなる病態のことです。

PCOSになると、月経不順や無月経、不正出血などの症状が現れたりしますが、このPCOSになっているかどうかがわかる検査をAMH(Anti Mullerian Hormone)検査といいます。

AMH検査によって卵巣の年齢が知れますが、このAMHの数値が高いとPCOSの疑いがあります。冒頭から英語が並んで???となりやすいかもしれませんが、以下ではよりわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

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AMH(Anti Mullerian Hormone)検査とは?

最初から少し難しい用語が並んでしまったので、ひとつずつ解説していきたいと思います。

そもそもAMHとはどのような意味なのでしょうか?

■AMH(Anti Mullerian Hormone)とは?

アンチミューラリアンホルモン(または抗ミュラー管ホルモン)の略で、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。

AMH検査というのは、卵巣の年齢(卵巣予備能)を知る検査になります。

AMHは、卵巣の中にある未熟な卵胞(全胞状卵胞)から分泌されますが、このAMHがどれだけ血液の中に混ざっているか、含まれているのかという数値がわかると、全胞状卵胞の数がある程度わかると考えられています。

言い方を変えると、AMHの数値がわかると卵巣内にどれぐらいの量の卵が残っているのか、卵巣の予備能がどれぐらいあるのかがある程度わかると考えられています。

 

AMH値は年齢とともに下がる傾向にある

卵子(原始卵胞)は胎児が妊娠20週の頃に最も多く約700万個、生まれた時には急速に減少し約200万個、初経を迎える頃には約30万個になります。

卵子は精子のように新しく作られることはなく、一つの卵子が排卵するために、約1,000個の卵母細胞が候補となります。

卵子となる一つ以外は全て使用されず無駄になり、初経以降、卵子は月に約1,000個減っていきます。そのため、通常、加齢とともにAMHは低くなります。

AMH値は、卵子の在庫の数の目安ですので、その卵子の質が良いのか、順調に育っていくのかは年齢に一番関係していると言われています。

年齢平均値
27歳以下6.04ng/ml
28~29歳6.15ng/ml
30~31歳6.31ng/ml
32~33歳5.42ng/ml
34~35歳4.75ng/ml
36~37歳3.82ng/ml
38~39歳3.18mg/ml
40~41歳2.44ng/ml
42~43歳1.67ng/ml
44~45歳1.31ng/ml
46歳以上1.00ng/ml

AMHは正常値というものはありません。完全に年齢と相関しているわけではないため、平均値(年齢との相関関係)といわれる統計値ととらえられますが、測定誤差は約±15%あります。

 

AMH値が低い=妊娠しづらいということではない

ここまでお伝えした通り、AMH値は卵巣にどれくらいの卵子が残っているのかということをある程度目安を知れる数値となります。

ただ、ここで誤解をしてほしくないことは、卵子の残りの数が少ないからといって妊娠しづらくなるということではありません。

またAMH値は、ひとつの目安として活用されているため、AMH値が0に近い女性が妊娠することもあります。ですので、AMH値が意味するのは妊娠のしやすさではなく、あくまでも残りの卵子の数を知らせてくれる検査となります。

不妊治療をする方の場合も、この数値がひとつの不妊治療に取り組める期間であるという見方になります。

 

AMH値が高いと多嚢胞性卵巣症候群の疑いがある

■多嚢胞性卵巣症候群とは?

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS: polycystic ovary syndrome)とは、若い女性の排卵障害として多くみられる疾患で、卵巣の中でできる卵胞の発育が遅いことに加え、ある程度の大きさになっても排卵されず、卵巣内に多数の卵胞がたまってしまう疾患です。

PCOSの患者さんの卵巣を超音波で見てみると、10mmくらいの同じような大きさの卵胞がたくさんできていて、卵巣の外側に1列に並び、なかなかそれ以上大きくならないことが特徴で、ネックレスサインと呼ばれています。

PCOSの症状として最も多いのは排卵障害(70%)ですが、その他にも高プロラクチン血症(17%)、肥満(14%)、多毛(10%)、ニキビ(2.5%)などがあり、さまざまな症状に悩む女性が多くなっています。

上記でお伝えしたことだけを見ると、AMH値が高い方がいいのでは?と思われるかもしれませんが、AMH値が高ければ良い、大丈夫とも一概には言えません。

どういうことかというと、AMH値が4.0~5.0以上ある場合は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われます。

多嚢胞性卵巣症候群は、排卵が阻害されて、卵巣内に多数の卵胞がたまり、月経異常や不妊の原因となります。

 

まとめ

今回お伝えしたAMH検査というのは、卵巣の年齢を知る検査となります。

卵巣の年齢を知ることは、残りの卵子の数をある程度把握でき、そこから妊娠できる期間が予想できたりします。

またAMH値が低いからといって妊娠しにくいということではありませんし、この数値自体は卵子の質を評価するものではないということです。

卵子の質をより明確に評価するためには、このような検査だけではなく、その他の検査とあわせてしていただくことで、より身体の中を知ることができます。

今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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